11月, 2013 | 淡路プラッツプラッツからのメッセージ
淡路プラッツは『親の居場所』『若者の居場所』
一般的にひきこもり支援をトンネルに例えると、“入口—真ん中—出口”とあり、入口は本人への訪問やアプローチを含む「アウトリーチ支援」、真ん中は居場所やボランティア活動など若者本人が関わる「生活支援」、出口は体験や実習など実際に自立や就労に取り組む「就労支援」となります。
プラッツも同様に“入口—真ん中—出口”という流れで「スモールステップ型の伴走支援」を行っており、各段階に応じてより深く、長く関わる独自の特徴を持っています。
特にトンネルの真ん中部分は見えにくく時間のかかるものですが、今も昔も変わらずプラッツはそのド真ん中の『居場所支援』に重点を置いています。そこではメンバー・スタッフが渾然一体となりながら、時にまったりボチボチと、時に真剣マジモードで、一緒に“遊び”“泣き笑い”“関わりあって”います。
その中で若者たちは「返事が一言から二言になった」、「目が合うようになった」、「笑顔が増えた」など、目に見えにくく分かりにくいものですが、でも確実に経験とともに“自信の基盤”を身につけていきます。
それは逆に言えば、『居場所支援』を通して他者と関わる機会を設ければ、着実に社会性や精神的な自立を身につけることができるということであり、実際スタッフや親御さんはそんな彼らのステップアップを目の当たりにしながらその事を実感していきます。
時間はかかりますが、その過程で若者たちは自分自身のことを知り、やがて“やりたいこと”ばかりではなく“やれること”へと取り組み始め、結果的にテーマは「社会参加から自立・就労」へと変化していきます。
そこで初めて、次の段階の「就労支援」へと移行していきます。
就労支援についてはまた別機会でお伝えするとして、このように『居場所支援』ではがっつりと若者に関わっていきますが、同様に「アウトリーチ支援」では親ごさんとの関わりを重要視しています。訪問に限らず関わり方をもう少し広義に捉え、特に親ごさんへのアプローチが届くように「面談・講座・親の会」の3つのメニューを“出会いのきっかけ”として周知しています。「困っている、誰かに相談しよう」という大きな決断と勇気ある第一歩を何とか次の二歩三歩先につなげ、その先にいる若者本人へつなげるためにまず『親の居場所』であること。それが変わらずプラッツが持ち続けてきた“プラッツらしさ”であり、これからも大事に繋げていきたい伝統だと感じています。
21年目に入り、ここにきてまた毎月の「親の会」の人数も増えてきており10名を超す回もあります。
盛況なのは喜ばしいことですが、それは同時にひきこもりを中心とする“子ども若者問題”が依然解決されることなく深刻化していることを示しています。
社会的にも、一家族的にも問題が深刻なのはわかっています。
わかっていても、それでもなお、親ごさんには笑っていて欲しい、そう思います。
それは「親が笑うことなく若者本人が笑うことはまずない」と感じているからです。
だからプラッツは、親ごさんが安心して話せて、涙の中にも時に笑顔があるような『親にとっての居場所』であることを願い活動しています。
以上、改めて『プラッツは若者本人の居場所であり、親ごさんにとっても居場所であり続けます』ということをお伝えする機会を頂きました。今後、毎月“ゆうほどう”にてスタッフがリレー形式でそれぞれの思いをお伝えしていきます。今後ともよろしくお願いします。
ゆうほどう2013年11月掲載
石田貴裕
2013年11月1日
カテゴリー: スタッフエッセイ